小児医療連載コラム “いざというときにあせらない”こどもの病気とケア
便秘は子どもの腹痛の原因で最も多い疾患です。
しかし、お子さんに便秘があっても親御さんがそのように認識していないことがよくあります。
熱がなくて食欲があるお子さんがお腹を痛がっている場合、まずは自宅で浣腸をしましょう。浣腸は子育ての必需品です。
乳児期に母乳しか飲んでいないお子さんが数日から10日程度排便がない場合、ほとんどが母乳性便秘です。
お母さんがいいおっぱいを出すと、ほとんど吸収されてしまい、便ができない場合があるのです。
綿棒浣腸しても排便がない場合は、出すほどたまっていないのです。
当院では本人が困っている様子(すごく力んでいる、お腹が張っている)がなければ7-10日程度は様子を見ても大丈夫ですと説明しています。(ミルクを飲んでいるお子さんでも、ほぼ同様のことがよくあります。)
腹痛で来院し、診察の結果「お子さんの腹痛の原因は便秘ですよ」というと、「うちの子は毎日出るから便秘ではありません」と言われる場合があります。
便秘というのは食べる量と出る量のバランスが崩れた状態をいうので、毎日排便があっても硬便が少量しか出ない場合は便秘であり、3日に1回の排便でも3日分が無理なく出されていれば便秘ではないのです。
排便で困ること(腹痛を伴う、排便するのに長時間かかる、おしりが切れることがある)場合は、たとえ毎日排便があっても便秘の治療をした方がよいかと思います。
便秘の治療は基本的には飲み薬を飲んでもらうことになります。
毎日しっかり飲んで1-3日に1回無理なく排便ができるようにします。
「毎日薬を飲ませましょう」と説明すると「くせになりませんか?」とよく聞かれます。
「くせになる」の意味が「飲まなければ出ない子になる」という意味であるならば、くせになるのかもしれません。
でも多くの場合は、飲み薬以外の方法で無理なく出るようにはなりません。
ですから「くせになる」のではなく、「薬を飲めば無理なく出るようになる」と考えてくださいと説明しています。
お子さんが排便で困っているようであれば、いつでもご相談ください。
医療法人社団育心会
やまだこどもクリニック
院長 山田慎一
https://www.yamadakodomo-clinic.com/
※2020年9月4日掲載
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