小児医療連載コラム “いざというときにあせらない”こどもの病気とケア
僕は漢方薬をよく処方しますが、漢方薬でなければ治せないこどもの病気もたくさんあります。
ひどい生理痛(月経困難症)は漢方薬がよく効きます。漢方薬は月経困難症に対して様々な薬があり、こどもは芍薬甘草湯がよく効きます。それでも効果がいまいちの場合は桂枝茯苓丸、桃核承気湯などを処方します。痛み止めとして使うのではなく、体質改善を図る薬なので、効果がありそうであれば3カ月内服していただきます。
チックは意外と多い疾患です。動作チック(頻回のまばたき、首をかしげるなど)と音声チック(汚い言葉を言うなど)があり、いずれも抑肝散が著効する場合が多いです。咳払いのチックは半夏厚朴湯を処方しています。
しもやけを治す西洋薬はありませんが、漢方薬では当帰四逆加呉茱萸生姜湯がよく効きます。ただ、この薬は漢方薬の中でも特に苦いのが難点です。
悪阻(つわり)を改善する西洋薬はないかと思います。漢方薬は小半夏加茯苓湯が効きます。漢方薬ですので、妊娠中でも安心して飲むことができます。
夜泣きには甘麦大棗湯が効きます。甘麦大棗湯は甘い漢方薬で乳児にも飲みやすく、治療効果も高いです。親御さんの健康を害する夜泣きをする場合にはご相談ください。
中耳炎を繰り返して大変だというお子さんは少なくないかと思います。中耳炎を治す薬は通常は抗生剤ですが、柴苓湯が中耳炎の予防に効果があるという報告があります。当院で何人か試しに処方していますが、比較的効果が出ているように感じます。
通常の西洋薬ではなかなか対処しにくい疾患でも、漢方薬でならなんとかなるものもあります。お子さんの病気でお困りの時は、いつでもご相談ください。
医療法人社団育心会
やまだこどもクリニック
院長 山田慎一
https://www.yamadakodomo-clinic.com/
※2020年12月18日掲載
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
第38回 医者の役割
医者の役割
第37回 漢方薬あれこれ
第36回 腹痛の漢方